あるクラスではやたらと女子が騒いでいる。

キャーキャー騒ぐものだから担任からのお叱りを受けることもある。



その原因を作っているのは…彼らのせい。








窓側の後ろという、教室では誰もがうらやむ席で弁当を食べていたのは
通称、36コンビといわれているテニス部の不二と英二だった。

弁当に入っていた玉子焼きを英二に食べさせようとしていた不二。
満面の笑みで美味しそうに見ている英二。

「ハイ!英二…口開けて?」
「あーん……んま〜い!ふひんち(不二ん家)のたまほやひ(玉子焼き)はいほ〜(最高〜)!!」
「よかった…じゃあ僕にもちょうだい」

今度は不二が英二に食べさせてもらっている。
そんな様子を見たから女子達は大興奮。
周りが興奮していることさえも気が付かない二人は完全に自分達の世界に入って いる。

「あ〜もう食べ終わっちゃった。不二との時間ってすぐ過ぎちゃう」
「そうだね…僕も英二との時間はあっという間。…そうだ、今日家に泊まっていきなよ。そうしたらもっと僕達一緒にいられるよ」

うん!と頷いて楽しそうに会話をしている。
見ている周りも心が和む英二の顔。
この可愛さは犯罪級だ。


当然二人が付き合っているのは誰もが知っていることだが、
やはりアイドル的存在のせいか女子に限らず、男子までこの二人のどちらかに
告白をするという事態が一週間に何回か続いた。
実は俺にもチャンスがあるんじゃないか…と考える人が増えたのだ。
しかも告白される回数で考えると不二よりも英二の方が多い。
だからその度に目を光らせて変な虫が付かないようにしなきゃ…と不二は考えていた。

あるとき、また男子が告白を英二にしようとしている。
さすがの不二もいい加減嫌気が差したようだ。

「僕達付き合ってるってこと…知ってるよね?英二に近づくの…やめてくれないかな」

不二の蒼い瞳が開眼されてその男子を貫くように見る。
怯えた男子はその場で去っていった。







「やれやれ…虫の数が多すぎて気なんて許す暇がないよ」

「不二…俺のこと守ってくれてありがと…大好き!!」

つい誰もいないからってキスをそんな大胆にやってはいけない。
と思いながらも嬉しいからついつい許してしまう不二。

「あぁ…なんか眠くなってきちゃった…ねぇ不二の家で少し寝てもいい?」
「いいよ。でも僕を一人にさせるってことは英二が起きたら僕に対して何かしてくれるんだよね」

何かってなんだろう…?と嫌な予感を覚えた英二。
ゾクリと背中に寒気がした。
今日も安眠なんてできないことを覚悟した英二。
二人の甘い日々はいつまでも続くのでした。