帰り道。
地平線に夕陽が溶け込んで辺りは暗くなっていく。
冬になるに連れて寒くなる。
君と初めて出会ったのは桜舞い散る中。
同じクラスになって声を掛けてきたのは君だった。
元気な子だなってのが第一印象。
正直相性は合わないんじゃないかって思ったんだ。
でも…次第に君に惹かれていった。
僕とは違う活発な笑顔。
いつか…
彼を僕のものにできたらいいのにと思った。
「不二?どったのー?元気ないよん」
「…英二、君に言いたいことがあるんだ。…いいかな」
この質問をしたら僕達の関係は完全に崩壊する。
今まで築き上げてきたものが音を立てて崩れてしまう。
そうなりたくないから…僕は必死になって感情を抑えてきた。
触れたい欲望を抑えた。
キスしたい欲望を抑えた。
ただずっと…
君を見ているだけにしていた。
ねぇ…
僕はもう我慢ができない。
だから…
何もかもがなくなってしまっても…
この気持ちを君に伝える。
「言いたいことってにゃに?」
「…僕は英二が好きだ」
「知ってるよ〜あったりまえだろー!俺も好きだよ」
「違うんだ。仲間としてじゃなくて…」
「え?…どういうこと…」
言うべきじゃなかったかもしれない。
いや、かもしれないじゃなくて言わなきゃよかった。
僕の想いは伝わらない。
伝わるなんて思ってた僕が間違っていたんだ。
もう後戻りはできない。
今までのような関係は築けない。
さようなら。
もう君と一緒にはいられなくなっちゃった。
さようなら。
「…なんでもないよ。聞き流して。…じゃあね」
「勝手なこと言うなよ!」
「え?」
「まだ話終わってないだろ〜っ!…俺まだ自分の気持ち、不二に言えてない」
「英二…」
自分の気持ちって言うけど僕はその先は聞きたくない。
僕から切り出した話なのに勝手かもしれないけど、英二の口から僕の想像する言
葉を言われたら…
生きていく自信がない。
やめて…言わないで…。
「…俺は不二のこと、もっと知りたいって思ってる。だから…いきなり恋人ってわけにはいかないけど…」
それはどういうこと?
英二は僕を…ふったわけではなくて…
「だから…その…親友より深くて恋人まではいかないってのが…俺はいいな」
「…ほ、ホント?」
信じられない。
夢を見ているんじゃないか。
まさか…まさかこんな展開になるなんて…
絶対無理だって思ってたのに。
今は僕の心があのコスモスのように踊っている。
気持ち悪いとか言われても仕方のないことだって思っていたのに。
「焦らず行こうよ…ね!」
「うん…!」
