どうしてかな?
不二って身体はいつも冷たくてヒンヤリしてるけど…

俺といるとき…特に二人だと暖かくて…


ドキドキしちゃう…






















「どうしたの?英二…そんな顔されたら僕の理性が持たないよ」

「え?ち、違うよ!そんなつもりでこういう顔してたわけじゃないっての!!」


















俺達は休日の公園、空いてたベンチで二人座っていた。
もちろんこんなとこ…しかも冬に男二人で座ってたら変に思われるかなーなんて考えたけど…

不二と一緒ならどんなことだって俺はできるし構わない。
このベンチもまた小さくて二人で座るとギリギリな感じ。
それがまたいい雰囲気になって俺はもっと嬉しい。




冬なのにこんなに晴れてるからたまにはゆっくり静かな公園でのんびりしたいねって言ったのは不二。
俺もその意見に賛成だから今、こうして二人でいる。


子供がじーっと俺達のこと見てたっていいさ。
やましいことなんてない。

ベンチだって他にもあるし、俺や不二がいちゃついてるのをじっくり見ればいいさ!















「このぐらいの子供っていろんなことに興味を持つよね…僕達を見てて楽しいのかな?」

「さぁ〜?楽しいから見るんじゃね?」














俺は不二に寄り添った。
不二がしていたマフラーをいじってみる。
俺が興味を示したマフラーにそっと手をかけた不二は一回、自分の首から外す。










「あれ?取っちゃうの?」

「…そう。こうしたいからね…」
















マフラーは俺の首に一回巻きつけて、それから不二の首にも巻きつけて…
恋人巻きの完成!って…男同士こんな巻きつけて外から見たらマジで変なんじゃ…


って俺が弱気になってどうすんのさ!
さっきまで俺は周囲の目なんて気にしないって言ってたのに。


言ってることが矛盾しちゃった。

ゴメン…不二。














「恥ずかしいの?英二…もしかして僕と一緒にマフラーを巻きつけたのが嫌だった?」

「そんなわけないだろっ!俺…今すっごいドキドキしてんだかんな!!」















不二の手を俺の胸の上に置いてみる。
俺の心拍音が超大きくなってるのがわかる。






やっぱり恥ずかしいや…















「英二…そんなに顔赤らめなくても…ね?」

「そ、そうなんだけど…」


















嘘みたいに天気のいい今日は、俺達をポカポカな空気で包んでくれる。

なんだか…このまま眠ってしまいそう…













「猫はこういう天気の時ってひなたぼっこして眠ってるよね…」

「お、俺は猫じゃないもん!…人間なんだから!」

「だって…今こうしてる間もずっと眠そうなのに?嘘はいけないよ」















悪戯好きな不二は俺のほっぺにキスをする。
公共の場でも不二ってお構いなしだからなぁ…

こっちが恥ずかしい思いをしちゃうこと、けっこう多いんだよね。

別にいいけどさ…













「照れちゃって…可愛い…」

「お世辞なんかいらないよ!」













不二にあっかんべーをした俺。

それをクスクス笑う不二。








何が面白いんだか…俺にはわかんないけど…。













不二は俺にとって特別な存在で絶対側にいなきゃダメなんだ。
じゃないと俺が死んでしまう。

そのくらい俺は不二のことが好きで好きで仕方がない。

少しでも俺から離れちゃったら…たとえ、不二が自分の家に帰るって言うだけでも…


正直…不安だらけで…俺は…













「そんな顔しないの。今にも泣きそうじゃない」

「だって…今ね、不二が俺の側から離れちゃったらどうしようって考えちゃって…」

「そんなこと考えなくてもいいじゃない…どうしたの…?」

「わかんない…わかんないよ…」














俺はマフラーに繋がれたまま…不二の首元に顔を埋めた。

不二からはすごくイイ香りがした。

たぶん…シャンプーの香りだと思うけど…俺の大好きな香りで安心する香り。





不二は俺がこの香りが好きだってことは知ってる。

俺の頭を優しく撫でてくれた。










「大丈夫…大丈夫だから」

「怖い…俺…不安が心から消えないよ…」














俺がこんなに子供でも俺のこと嫌いにならないでいてくれる…不二 が俺は大好き。
こんな俺を愛してくれる…不二が大好き。













「英二…こっち向いて…」

「え…」

「僕のこと…もっと信じて…」













そうだった…俺が不二を信頼しないでどうすんの。


いけない。
俺…不安とか言って不二を信じてない。







不二がそんなことするわけないのに。

俺…バカみたい…。

















「ごめん…不二…」

「わかってもらえればいいんだよ。ねぇ…英二、この後どうしようか?」

























この後の予定なんて何にも考えてはいないけど…もしだったら… 俺は不二の家に行きたい…



















「…来る?」

「…うん」


















マフラーに繋がったまま…俺は不二の手を握り締めて…ベンチから立ち上がる。













「もっと僕は…君と一緒にいたいから…もっと密着していたいから…覚悟しててね?」

「もちっ!!まかせとけっての!!」













俺は幸せ。

不二とずっと一緒にいられることが。


ずっとずっと…一緒にいたい…
















ずっと…















ずっと…





















俺ははぐれないように手を強く握り締めていた。