こんな言葉を言うなんて思いもしなかったよ。
俺…こんな日が来るなんて考えもしなかった。
でも…ずっと続くものなんてないって…早く気付くべきだったよね。
俺はまだ心が幼くて、大人になりきれてなかったんだ。
どんなことがあっても絶対乗り越えられるって…ずっと思ってた。
でも思ったより人間の心…ううん、俺の心は誰よりも弱かったみたい。
だから最後も笑顔でいること、これは誓って守ろうとしたんだよ。
だけどやっぱり持ちこたえるのは無理だったみたい。
自分が情けないよ。
近くにいるはずなのにもう連絡を取ることさえも出来なくなる。
言い忘れたこととかないかなって振り返ったりもしたけど、後からそういうことって思い出されるから
俺…また後悔しちゃうんだろうな。
でも今そんなこと考えてもしょうがないんだよね。
もう俺の想ってる人は飛行機に乗って…フェンスの隙間からかろうじて見えるか見えないか。
どうして人は出会うと必ず別れが来るんだろう。
別れなんて言葉は俺、大嫌い。
ずっとずっといつまでも一緒にいたいのに。
どうして神様は許してくれないの?
どうして…
どうして…
雨が何日も降っていなかったせいで渇ききっていた地面が俺の涙を吸収していく。
自分の足元にだけ特別な想いの雨が降っている。
きっとこの雨は止まない。
降り続けて…ここだけ洪水になっちゃう気がする。
どんなに泣いても、どんなに叫んでも…もう俺の声なんて聞こえないね。
空はだんだん暗闇になっていく。
このまま居続けたら…俺もこの暗闇に飲み込まれちゃうんじゃないかって思うほど…真っ暗で何も聞こえない。
俺はこのまま…ここに取り残されちゃうのかな。
そしたら…俺…もう家なんて帰らなくていい。
もう…食べるとか…寝るとか…人間として当たり前にやってることも全てやめてしまって…
ずっとここでお前を待っていたい。
ずっと待っていたら…俺に気付いてこっちに来てくれるかもしれない。
だったら…ヨリも戻せるんじゃないかな…
何が原因なんてことはない。
俺達は愛し続けた。
もちろん俺の一方的な愛だったのかもしれない。
それでも自然消滅っていうカタチで…特に修羅場になることも、掴み合いの喧嘩になることも
なかった。
だからむしろ感謝するべきなのかもしれないよね。
感謝。
感謝…?
何言ってんの…俺。
どうして別れる結果になったのに感謝なんてしなきゃいけないの。
馬鹿じゃない…俺…。
もう悲しすぎて…考え方が正常じゃなくなってきてるんだ。
…ははっ……はは…は………
「不二!!!!!!」
俺の横を通りかかったサラリーマン風の中年男性が突然の俺の叫びに驚いた。
おじさん…ごめんなさい。脅かせちゃった?
俺…どんなに嫌われても…不二のこと…永遠に愛し続ける。
大好きだから。
だから…俺のこと…忘れないで下さい。
俺…不二に…人には言えない悩みを聞いてもらったり、俺の言葉足らずな言い方でもちゃんと
付き合ってくれた不二が大好きだから。
大好きだから…
だから…またきっと会えるよね。
俺…会えるっていう希望…ずっと持ち続けるよ。
だから不二…ずっと、なんてワガママ言わないから…俺のことも忘れないで。
忘れないで。
そして…今まで本当に…ありがとう……
