世の中は上手くいかないことだらけ。
そんなことはわかってる。
それでも俺は希望を捨てたくない。
ぜったい卒業までに告白してやる。

んでもって相手にOKしてもらうんだから!!







あいつは大人びてて完全に俺とは違うタイプ。
クラスが一緒だし、席も隣だから話だっていっぱいする。
部活の話はもちろん、他校の噂だとかクラスの○○が××を好きだとかありきた りな話ばっか。
そこで俺は踏み込んで不二に好きな人がいるかどうかを聞いてみるけど気持ちを 暴露せず、いつも違う話題にすりかえられる。
よっぽど秘密にしたいんだと思いつつ、好きな人がいるんだってわかったらちょ っとへこんだ。







「どうしよう…俺が好きとか言ったらやっぱ気持ち悪いとか思うんだろうな〜… え?!」







不二が手塚に耳打ちしてる!
え、何話してるんだろ…もしかして…不二の好きな人って…。







俺は聞き耳を立てていた。







「…好き、ということだ」

「ありがとう…手塚でよかった」







え〜?!なになに?!
もしかして本当に告白して…















「英二」

「わぁ!び、びっくりしたぁ…」

「聞いてたの?」

「いや俺言わないから!手塚と付き合ったらお似合いカップルだと思うし、二人 とも幸せになれるよ!うん、おめでとう!!」







こんなこと言いたくなかったのに〜。
不二は待ってって言ったけど悲しすぎて俺はそのまま走り続けた。




























「終わった」




























屋上でつぶやいた。
やっぱり高望みしちゃいけないんだよなぁ…。
あ〜あ…そういえば不二っていろいろ告白されてるらしいけど全部断ってるらし いんだよね。
確か99人?
だとかなんだとか。

もうすぐ100いくじゃんとか誰かに言われてたな…。
あーもう…手塚好きなら俺にも言ってくれればよかったのに。
同じ部活なんだし、クラス一緒だし…

不二は男を好きってことに不安とかなかったのかな…。
まぁいいや…別に。

もう終わったこと、くやしがってもしょうがない。









「こんな所にいた!探したんだよ!」







走ってきたのは息を切らした不二だった。
汗だくになってまで俺のこと探して何がしたいのさ。
もしかして付き合うことになりました的なことを言うつもり?
だったらもう知ってるから言わなくていいよ!!!







「変な勘違いしないでくれる?僕、手塚となんて付き合ってないけど」







ありゃ?
なんとなくだけど不二は怒ってる気が…







「手塚には相談に乗ってもらっただけ。本当に好きなのは英二」







自分の耳を疑った。
それって本当なの?
嘘だよね?







「こんなときに嘘ついてどうするの?僕は真実しか言ってないけど」







100分の1の可能性…これは夢なんじゃないかと頬を何度もつねった。
痛いままだからどうも夢じゃないらしい。







嬉しすぎてはしゃいで不二に抱きついた後は何をしたか記憶がなかった。