高校生になり、新学期を迎え、新しい気持ちでウキウキしている中でも何週間も
経つと話題がなくなってしまう。
話題なんてなんでもいいのかもしれない。
それでも話すとなると意外に難しい、と思っているのは僕だけじゃないはずだ。
仲がよければよいほどお互いのことを知り尽しているから話題に上ることもない
。
まだ共通の趣味があるからテニスの話をするけれど、何もなかったらそれこそ話
すことは何もない。
「あ〜あ…なんかさー毎日おんなじこと繰り返すのってつまんないよねー」
「その平凡な毎日がいいんじゃない。戦争でもあったら生きるか死ぬかで毎日疲
れるよ?」
「そうだけどさー…あ!じゃあありえない話をしよう!」
「ありえない話?何それ」
普通に考えてそれはない!という話をしていくらしい。
それって面白いかな…まぁせっかく英二が提案してくれたんだしやってみても悪
くはない。
まず英二が話したのは手塚の特技だ。
テニス以外の特技が木工であるけれど本当は他にもあるんじゃないか、と。
例えば?
「女装とかしたら面白いよね〜!」
「やめてよ英二!想像しちゃったじゃない」
「よくな〜い?普通にカッコいいし、ミニスカポリスとかきっと似合うよ〜!」
「(カッコいい?のは僕じゃなかったの…英二。あとでお仕置きしなきゃ…)ミ
ニスカポリスって!も〜やめてってば!」
「なんの話をしている」
その声が響いて僕も英二も肩がビクついた。
本人がここで来ると思わなかった。
当然会話は聞こえていたらしく、もう部長ではない手塚なのにグラウンドを20
週走らされた…。
