中学のときに初めて会った僕ら。
高校になって付き合いだした僕ら。
この関係が続くかどうかなんて考えなかった。
どうせ同性だから結婚もなけりゃ出産もない。
だからといって遊びというわけじゃなかった。
でもこれだけ長く付き合っていくと、今後どうしたらいいのかわからなかった。
付き合った先にあるものは何か。
…そんなことを考えるのは野暮なことだろうか。
僕はずっとこのままでいいんだろうか。
答えを知りたくなくて、怖くて知らないふりをした。
周りと同じ人生を歩むことが正しいことだろうか。
違う道を歩むことは間違いだろうか。
世間は“特殊”という言葉を酷く嫌う。
自分達とは異なるもの、異物と称す。
異物は世間のごみだと掲げる。
どう生きていくかなんて自分で決めることだ。
お前達には関係のないことなのに。
悔しくて泣いていた。
所詮ごみは会社の役立たずなんだと知る。
会社に拒まれたからといって恋人と別れるつもりはなかった。
こうして好きな人といられるのだから僕は幸せなんだと思う。
隣ですやすや眠る英二の頬を撫でる。
英二は毎日疲れている。
それもそのはずだ。
僕は会社をクビになってからは無職でハローワークに通う中、英二はひたすら働いてくれる。
早く僕が収入を得ないと英二は疲れ果ててしまう。
今度は僕が英二を休ませてあげたいから。
だから早く就職したい。
今の僕は英二に頼りっぱなしの単なるヒモに過ぎない。
「んー…むにゃ…不二ぃ?」
「英二…愛してるよ」
「俺も…むにゅ…」
英二の唇がピーチキャンディみたいだったから思わず舌で舐めた。
甘くてもっと舐めたくなった。
でもこれ以上英二を抱いたらきっと身体を壊してしまう。
だから今日はしない。
また明日にしなきゃ。
英二をずっと、半永久的に愛したい。
いや恒久的に、永久的に愛したい。
僕はずっと英二の側にいられますように。
そう願いを込めて再びピーチキャンディにキスをした。
