離れて暮らすことになってから一年が経った。
すごく寂しい状態が続いてる。
だって…不二ってば出張なんて行っちゃうんだもん。
せっかく同棲してたのにさ。
俺今一人じゃんか。
寂しくて寂しくて泣いちゃうよ。
うぅ…。
「久々だな、菊丸」
「佐伯〜!本当に遊びに来てくれたんだ〜!嬉しい!」
いつも一人が寂しいから不二に許可取って誰かと過ごすことにした。
毎日ってわけじゃないけどね。
本当に時々だよ?
俺が言ったら最初不二は全然許してくんなくてさ。
浮気されると思ったみたい。
そんなことあるわけないじゃんね。
俺は不二一筋なのに。
「どうかしたか?」
「んん〜なんでもないよ」
佐伯なら僕の幼馴染みだからいいって不二は言ったんだ。
それでも隣に寝ちゃ駄目とか言われて説得するのに時間かかったよ。
不二ってば心配症なんだから。
「菊丸の好きなゲーム持ってきたから一緒にやらないか?」
「うん!やる〜」
あれ?佐伯から何かいい香りがする…。
香水つけてるのかな?
「佐伯って香水使ってる?」
「わかった?ハハッ…ちょっと色気付いたって言うか…俺も気になり出してね」
「甘い香り、すごくいいにゃ〜」
「じゃ、もっと近付いてみる?」
「え…///」
恥ずかしくて顔を下げた。
今佐伯がすごくかっこよくて…いけないことなのにちょっとドキッとしちゃった
。
ダメだよね…俺。
不二のこと考えよう。
「これやりたかったって話聞いたから持ってきたんだ。大乱闘バトル」
「やった〜!これずっとやりたくてさ!あ、じゃあ今度不二と誰かもう一人呼ん
で四人でやりたいね!」
でも楽しいから嬉しいや!
佐伯って優しいな〜。
しばらくゲームをして楽しんでいたけどだんだん目がショボショボしてきて疲れ
ちゃった。
瞼が重くて、俺は知らぬ間に寝ちゃったみたい。
「菊丸…俺をどうさせたいんだ?こんな姿で」
「すぅ…すぅ…」
「不二が怒るぞ?ほら、俺なんてもう我慢できないくらいになってるのに」
「ん…ぅ…ふ…ぅ…」
「服を脱がせたら気付くかな?お前の声が聞きたいよ」
「あ〜あ…英二はやっぱり気を抜いてる。誰かとなんて住まわせられないや」
「だな。テストは終了だ」
「ん…?…ふじの…こえ…わぁぁ!!!!不二?!!」
不二は出張先から帰ってきていた。
俺の様子が気になったらしく、幼馴染みの佐伯を使って俺を試したらしい。
ひどいよ!!
「ほーら、だから言ったでしょ。君が誰かとなんて住まわせられないってこと」
「俺を試したってこと?!ひどいじゃん!!」
「ひどい?誰がひどいんだか…僕だってこんなこと好きでしてるわけじゃないんだよ。それは
英二だってわかってるでしょ。まさか…僕が本気で英二をどうでもいいなんて思った?」
「それは…」
「…わかればよろしい。申し訳なかったね、佐伯。もういいよ」
「じゃあな、不二、英二!」
こんなことになるなんて…思いもしなかった。
俺は不二を裏切るなんてことはしないけど…でも、
こんな無防備な状態を見れば安心なんてするわけないよね…。
これじゃ信頼なんてしてくれるはずもない…
「英二?反省してくれるだけでいいんだよ?
僕は何も君をそこまで責めようなんて思ってない。ただ君に自覚して欲しかっただけだ」
「じゃあ…もう俺のこと…許してくれるの?」
「すぐには…無理だね」
「じゃ…どうすれば…」
「僕の言うコト1つ聞いたらいいよ」
頷いて不二のいうとおりにした。
俺はその日、メイド服を着せられて一日を過ごすハメになった。
こうなったのも自分のせい…これは仕方がない。
諦めよう…不二には勝てないし…
