どんなにつらくても、どんなに寂しくても…あいつがいるだけで俺は水を得た魚になる。
俺にとっての癒し。
元から笑顔の不二は普段こそニコニコしていても俺といるときは開眼していて、ほとんど笑わない。

最初は俺といても楽しくないのかと思った。
だけど不二に聞いてみたらあれは自然に出てしまう作り笑いで、英二といるときは幸せ過ぎるから逆に笑わないのだと言った。
俺は少し理解出来なかったけれど、俺のことが嫌いなわけじゃない事がわかったから良かった。

真剣な眼差しの不二は俺といると口数が減る。
これまた嫌われてるんだろうかとか考えていたら、英二と話すときはつい格好つけて話しちゃうからしゃべれないと言われた。
あいつそんなに奥手だったっけ?とか思いながらも不二が意外にも俺と一緒にいるときは緊張してるんだってことがわかった。
余裕そうにしているのに実は俺よりも余裕がないんだって。
そんな不二が可愛くて俺がキュッと抱き締めると、反応した不二はすぐさま俺を押し倒して抱いてくれる。
俺の渇いたカラダを潤してくれる、不二は砂漠の中のオアシスのような存在。

だから毎日でなくても、不二がいなきゃカラダは渇ききってしまう。

それなのに俺はおあずけを喰らってしまう。
不二が風邪を引いてしまったからだ。
もちろん、風邪は憎いけれど不二が具合悪いのに無理させるわけにもいかず、見舞いにだけは行った。






「足り…ないのッ……!もっと…もっとっ…!!」

「そんなに欲しかったんだね…完治に時間かかっちゃってごめんね…」

「イイ…からぁっ……!!はやく…はや…く……欲しいっ…ッ…!!!!!」






俺は求めすぎて頭がおかしくなりそうだった。
一日空いても耐えられない…不二がいなきゃ俺は生きていけなくて。
こんなに依存性になっちゃって自分でもオカシイのはわかっているのに、ただただひたすらに不二を求めてしまう。
苦しくてつらくて渇いたカラダを潤すために自ら腰を動かして中へと沈める。
最奥まで貫かれ、ぐいぐいと犯されても苦しくても気持ち良くて、自分のが限界になりそうになった時に互いの腹に白濁したものをぶちまける。
それでも不二はまだ俺を犯し続けていて、俺のはまた勃ち上がってしまう。
何度も何度も抜き挿しを繰り返されて一番イイ所を突かれた時、同時に射精してしまった。






「もー…容赦なさすぎぃ」

「当たり前だろう?穏やかにしても英二に文句を言われてしまいそうだからね」

「わかってんじゃん」

「英二の事で知らない事なんかないよ」

「えっ!?うそぉ…じゃ、この間のミルククリームパンこっそり食べたの―――」

「知ってるよ、それに買い物の時、買い物カゴからこっそりカレールゥを辛口から甘口に変えたのもね」

「え〜…絶対気付かないと思ったのに」

「気付くって。英二は隠し事が下手だからすぐわかる」






俺は食べ物の話だけで済んでほっと胸を撫で下ろすと、じっと不二に至近距離で睨まれる。
俺はその切れ長の目に心を奪われてドキッとしてしまうと怖い顔のまま、不二は口元だけ笑みを浮かべて言った。






「…手塚に会ったのも知ってるよ?」

「え??で、でもでも会っただけで別に何もしてな―――」

「ふーん、手塚はパスタを英二におごってあげたって言ってたけどな。やっぱり英二は僕だけじゃ足りないんだ」

「ち、違う!違う!俺はただ久々に会ったからごちそうになったって言うか、食事奢ってくれるって言うからお言葉に甘えたって言うか…」






俺は慌てたいわけじゃないし、悪い事じゃないはずなのに何故か不二に責められると俺が悪い事をしているような気がした。
不二はやっとフッと笑うと穏やかな笑みを浮かべて俺に口付ける。






「悪い事じゃないんだから慌てる必要ないでしょ?ただ、話題として僕に話してくれてもよかったんじゃない?」

「は…はぁい…」

「英二はまだまだわかってないみたいだからもっと躾しないとダメだね」






実は依存していたのは俺より不二なのかも?なんて思いながら、俺はオアシスを求めて再び不二に抱きついた。