寒い。
ここは崖の下。

僕達は遭難してしまった。







「どうしよう…まさかここで遭難するなんて…不二〜!助けてよー!!」

「って言われてもね…僕らだけ…はぐれちゃったんだ。もうどうしようもないよ 」







僕は希望のない返事しかできなかった。
本当なら今頃テニス部みんなで合宿先に向かって宿泊しているはずだった。

だけど突然大木が倒れてきて英二が下敷きになりそうになった。
僕は必死になって庇おうとしたら、勢いがありすぎて崖から転がり落ちたんだ 。

救助を待たなきゃ絶対助からない場所で僕らはどうすればいいんだろう。












「俺達…食べ物も水も預けちゃって何もないよ?ここで干からびて…死んじゃう んだ」

「縁起でもないこと言わないで!いつかは助けてもらえるよ…いつになるかはわ からないけど」







不安が消えることなんてない。
でも…英二が一緒だからいいや。








「…寒くなってきたね。ねぇ、不二は寒くないの?半袖じゃん」

「上着も置いてきたよ…最悪だ」







体が震える。
すると英二は自分の上着を脱いで僕に着せてくれた。
英二だって寒いだろうに…







「ダメだよ、僕は耐えられる。ほら…脱いだら英二も震えてるじゃない」

「だって…不二が…寒そうにしてるし!」

「大丈夫だから。じゃあさ…こうしてもいい?」







僕は英二の背中に寄りかかる。
背中合わせの体温が小刻みに震えていた体を温めていく。








「不二〜それじゃ寒いって…あ、じゃあさこうしようよ」

「え///英二?!」







僕の服を蜜柑の皮を剥くようにはぎ取っていく。
英二、何がしたいの?

上半身裸になり、寒さが増すと英二は唇を重ねてきた。
舌も入り込む。
だんだん激しいものになっていくと口の端から唾液が溢れる。

いつもと…なんだか逆だね。

僕は地面に押し倒された。
英二の触れた所から熱くなっていく。
でも…雨で濡れた地面は冷たいから…背中だけ寒いな。









「英二…今度は僕が上に…」

「え…寒いのは不二でしょ?いいよ…俺は」

「いつもみたいに抱かせて?」







抱き合えばどっちも温かくなるじゃない。
僕が抱きたいから。

だから…英二、抱かせて…















「ん…ん…っ…あ…!」

「いい…ね…!英…二の…その…顔…好き…だよっ!」

「壊れ…ちゃ…う……!あ…あ……ん…っ!!」







英二の中にたくさん僕を注ぎ込んだ。
全てが熱くなった。
汗もかいている。




















「…こうして英二と一緒にいられるなら…僕はずっとこのままでいいや」

「え〜!俺ヤダー!!もっとゲームしたり、車とか乗りたいし…」

「…僕が嫌なのかい」

「そ、そうじゃなくって!えっと…不二といろんなところに行きたいし、テニス もしたいし」

「そ?フフッ…冗談だよ。じゃあ英二、ここにいるってわかるように火を焚けば いいよね」

「え?でも火なんて…」







ライターがあると言って英二に見せた。








「ちょっ!それライター?!なんで持ってるのさ!持ってるなら早く燃やせば」
「だって英二と一緒にいたかったし」







…なんて言ってみたけど実際ライターを持っていたことに気付いたのはついさっ き。

僕だって余裕があったわけじゃない。
























「あ!来てくれたよ!」









焚き火のおかげで僕達は救助隊に助けられた。
おかげで崖の下から脱出することができた。









「…よかった。もう安心だね」

「うん…俺、もう助からないと思っちゃった」







英二の頭を撫でた。
僕達は決して離れない。

いつでも一緒だ。