俺達は花にたとえたらなんだろうねって話をしていて。
不二は白い花みたいだよって俺は言ってやった。

白い花って何?って聞かれたからたぶん白い薔薇じゃない?って言った。

たぶんなんていい加減だねって微笑みながら不二が言った。










そんな不二が今はもういなくて。


白い菊と黄色の菊に囲まれて。
遺影の不二は絶えず笑ってる。

なんで俺をこの世に残したの。
どうして先行っちゃったの。
俺が先に死ぬはずだったのに。

…なんて眠った不二に言っても俺の言葉は届くはずもなくて。
ただ涙を溢すことしかできない無能者。


俺も死にたかった。

不二と一緒に死にたかった。

俺を

俺を

ひとりぼっちにしないでよ















葬式に参列して思った。
人間の命って儚すぎるよ。
トラックに当たってしまったら、その人がもうここにはいないなんて。
信じられる?

ここにある不二の体は単なる器なんだ。
魂がここにはないんだ。







「英二くん…来てくれてありがとう。きっと周助くんも喜んでるよ」







不二の親戚だ。
身近な家族の人達は悲しみのあまり会話ができる状態ではなかったから、親戚の 人が俺に話しかけてきた。


俺は大した返事もしないまま外に出た。








不二はこのお空のどこかにいるんだよね。
俺…動体視力いいし見つける自信があるよ?

探してみ…























「危ない!!!!!!」







俺は乗用車にひかれそうになったけど大石がかばった。
大石に頬をビンタされた。







「ばかやろう!死ぬ気か!!」

「…そうだよ!悪いって言うの?!俺の大好きな人が死んじゃったんだよ!!こ んな辛さ大石にはわかんないさ!!」

「俺だって悲しいんだ!不二がいなくなって辛くない奴なんかいないだろう!」







大石は俺に怒鳴った。
皆俺達を見ていた。

大石が手をひいて休める場所まで連れて行ってくれた。

大石にはテニスも普段の生活も迷惑かけてばっかだ。
最低な俺…本当に死にたいと思った。















「不二…」







俺が最期に話したあの花…たくさん買ってくる。
あの花はどんな意味があるとか、いわゆる花言葉ってのは知らないけど…不二に 似合う花だから…だからだから…たくさん買ってくるね。

俺は財布にありったけの金を入れて花屋に向かった。







当然店なんてもうやっていないけど…唯一知り合いが花屋をやっていた。
頼んでありったけの花を買う。
不二のイメージと勝手に決めつけたあの花を。







「こんなに…ほら見て不二」







一面に散りばめた白い花。

白い…薔薇。







不二、薔薇が綺麗だね。









綺麗に花も飾ったし…ここでもう不二とはお別れだね。









いつか俺もそっちに行くからね。

さようなら。