「不二〜トランプしよ!」
突然英二が言い出した。
トランプしよって…何やるんだろう?
「何をするの?」
「ババ抜き!」
「二人で?誰がジョーカー持ってるかわかるじゃない」
「そうだよ。でも俺、不二に勝てる自信あるもん!しょーぶ、しょーぶ!!」
二人でババ抜きなんて…まぁいいけど。
配られたトランプを見ると僕の所にはジョーカーはない。
どうやら英二が持っているようだ。
勝つには僕がひかなきゃいいわけだね。
「ただ勝つんじゃ面白くないから負けた人は勝った人の言うことを聞くってのは
どう?」
「いいよん♪でもそんなこと言って後で後悔しないでね〜」
やけに英二は余裕だ。
勝負に勝つかどうかなんてわからないのに…。
だけどトランプを開始してから五分もたたないうちに僕はジョーカーをひいてし
まった。
そのときの英二の顔が今も忘れない。
絶対負けない!と誓った僕だったのにあっさりと負けてしまった。
「へへーん!菊丸様の勝利〜!ね?言ったでしょ、勝てる自信あるって」
「信じられない…まさか負けるなんて…」
「約束は約束だかんな!えへへ〜どうしようかな〜」
英二の命令。
僕がチャイナ服を着て英二の部屋で監禁される。
「わ〜!可愛いっ!可愛いよ〜不二〜!!」
「…なんで僕がこんな目に…」
前からの夢だったらしい。
僕の女装なんて可愛くないだろ…と思ったけれど命令は命令だから仕方ない。
しかも手錠に足枷なんて…
「…悪シュミだね」
「はぁ?普段俺にやってることをさせただけだよ〜?ん〜不二ってチャイナ似合
うね」
ギロッと英二を睨んだ。
英二はびっくりしてたけど僕の格好に満足しているようだ。
たかがトランプでこんな目に遭わされるとは…
「なんでも言うこと聞くんだったよね!じゃあ…これ舐めて」
差し出したのは英二の指。
なんだ…こんなこといつも僕がしてることじゃない。
全然構わないよ…
「あ…」
フフッ…英二?
罰ゲームを受けてるのは僕の方なのにね。
「ん…ダ、ダメ…」
「ダメじゃないよね?…やっぱりコレは君が着た方がいいみたいだ」
というわけでチャイナは英二が着ることになり…僕は罰ゲームから逃れられた。
これじゃあトランプ勝負をした意味がないみたい。
まぁ、いいか。
でも気になることが一つだけ。
なんでトランプにそんな自信があったのだろう?
英二に聞いてみた。
「あ〜、なんでかって?俺達お揃いのネックレス付けてんじゃん?」
「うん」
「プレートのとこに反射してたから見えてたんだよ!」
「え?!そうだったの?!ヒドイ英二!イカサマじゃない!!」
「天才・不二周助も意外とマヌケだね〜!にゃはは」
「〜〜〜!!!英二!今日は寝かさないから!!」
「ひぃっ!!!!!」
こうして僕らはまたラブラブ生活を過ごすのでした。
