俺と不二は仲良し。
実は付き合っちゃってたりする。


だけど俺達に障害は多くて、決して油断なんてできない。
毎日と言っていい程女子が呼び出してくるからなぁ…。

呼び出す所は決まって体育館の裏だとか、音楽室だとか、校庭だとか…ここの学 校ってこんなに女子いたっけ?って思うくらい。

今日も呼び出されてこれで三人目。
俺だけじゃなくて不二だってそうだ。









「もう…うんざりだね」

「俺…女になればよかったかも」

「女になったら今度は男から告白の嵐になるよ。英二は可愛いから今の倍になる かもね」

「う…それはイヤ…」







日々うんざり過ごしていると、今度は玄関の靴入れに大量のラブレターらしきも のが入っていた。
開けた瞬間にドサーッと出てくる。
あまりの量に他の男子にもからかわれた。

恥ずかしいよ…















「なんか対策…ないかな?」

「僕と付き合ってること公言しちゃえばいいじゃない」

「え〜だって周りの目が絶対冷たくなるもん!ヤダ〜」

「う〜ん…じゃあ靴入れの手をかけるところに針を仕込むとか?」

「…不二、怖いって」







どうしたらいいかなぁ…確かに言っちゃえば楽かもしれないけど…。







連日の告白攻撃、ラブレター攻撃…その次にきたのは…















「あ!菊丸くん…ちょっといい?」







また俺?
もういい加減にしてよ。







「私…不二くんが好きなの!だからね、伝えておいてくれるかな?」







伝えて?
何それ。
伝えて不二が付き合うとでも思ってんの?
信じられない。

だけどこういう“伝えて”的なものは意外にも多かった。
当然いちいち不二に伝えたりなんかしないけど、こういうことがあったって事実 だけ伝えた。
すると不二も俺に伝えて、という変な告白を最近されるようになったらしい。
お互いイライラ度はMAXだった。







「あ…あの…不二くんに伝えてほし───」

「伝えきれないよ!!」







やば…大声張り上げ過ぎた。
でももう俺の口は止まらなかった。








「俺は不二と付き合ってんの!もう告白もラブレターも伝言も禁止!!!」







声を掛けてきた女子は去った。
俺…言っちゃったよ…どうしよう。









「言ってくれてよかった」

「不二!」

「公言してくれたんだね。英二ありがとう」







不二に抱き締められた。
あぁ…俺…言ってよかった…のかな?







だけど当然言ったからにはあの女子は皆に言いふらしたようで、周りからの視線 は冷たかった。

それでもかまわない。
不二と手を繋いで教室に入った。













「おい、来たぞ異色カップル」

「うっわ…噂ってマジだったのかよ…ひくぜ」







「あいつら…」

「英二、気にしなくていいよ…ほらこっち向いて」







不二の方を見ると口をキスで塞がれた。
舌が入り込みとろけそうな甘い味がした。


って…こんなことしたら周りからもっと冷たくされちゃうよ。







「…英二、僕がいるからね。周りなんて気にしないで」

「…りょーかい!」