※2012年不二誕生日記念小説。
※不二菊、不二塚を混ぜた小説です。
祝福されるのは4年に一度だけ。
滅多に巡ってこないその日付が今年はある。
不二周助の誕生日。
卒業を間近に迫ったこの時期。
そしてそわそわとする女子たちの熱い視線。
これが何を意味しているのか、不二にはわかっていた。
今年は誕生日があるから、そしてもう少しで卒業になってしまうから。
様々な理由をつけてはこの日を節目に行動する者が増えるのだ。
確かに時期としてはふさわしいかもしれない。
もう卒業を境に会わなくなってしまう者たちが多いだろうから。
この機会を逃す手はないだろう。
だけど。
当本人としては不快な感情しかなかった。
その様子を一番近くで見ている者、菊丸英二はわかっていた。
「(今週の不二は特に絡みにくいにゃぁ…)」
何気ない会話に関しても棘を含むような言い方をしていて心底英二は落ち着ける様子はなかった。
不二の気持ちもわからないでもない。
本来ならば誕生日を純粋に祝ってくれればいいものを時期が時期なだけに告白といういらないプレゼントまでくれるのだから苛立つ気持ちもわかる。
英二としては普段の何気ない様子で接したかったが、そうもいかないとなると不二とどう接するべきか悩んでしまっていた。
英二は悩みを解決するべく手塚に相談しに行った。
英二としては本当ならばあまりかかわりたくない相手である。
というのも不二を愛するという意味での恋敵であるからだ。
不二は現時点で誰とも付き合っていない。
英二は既に不二に告白をしたがふられた。
その話を聞いてから手塚は自信がなくなり告白するのをやめた。
それからというもの、不二にかかわる話題は自然と英二と手塚でするようになった。
恋敵でありながら相談もするという、なんとも奇妙な関係なのである。
「…今度は何だ」
「不二のヤツが機嫌悪ぃの。手塚の力で慰めてやってよ」
「俺にそんな力はない」
「意気地なし。手塚ならできるよ。だってあいつU-17合宿中、お前と試合して泣いたんだよー?俺のことなんて気にしないでさっさと告白しろ、んで付き合え。リア充は爆発しろ」
言っている意味がよくわからないと言いたそうな表情で手塚は英二を見た。
そして手塚は首を振り、自信のなさそうな声で英二に言った。
「あいつは…誰とも付き合わないんだ。俺たちが何をしても無駄だ」
「そんなのやってみなきゃわかんねーじゃん!少なくともふられた俺より告白してない手塚の方が勝算はあるだろー?」
「何か楽しそうなこと話してるね」
どきりとして二人が振り返れば話題にしていた、不二本人がいたのだった。
ここは屋上。
まさか手塚と英二が二人で話しているなどと知られているはずはない、そう思っていた英二。
しかし後をつけられていたようで不二には全てお見通しだったのだった。
「君たち…傍から見ると恋話をしている女子学生みたいだよ?なんだか笑っちゃった…手塚までいるしね」
「ち、ちがう!!俺は…っ」
「違わないでしょ?知ってたし…君が僕のことを好きだってこともね」
不二は簡単に言いのけてしまう。
英二がゆっくり手塚の方を見ると既に呼吸をしていない様子だった。
顔は青ざめている。
「安心しなよ…僕にとって君たちは特別だ。他の学生らとは比べ物にならないくらい、ね」
「ふ、ふじ…?」
「英二も怯えなくていいよ。僕は二人にこんなに思われてるってわかって幸せだよ」
不二はゆっくりと二人に近づくとニヤリと含みのある笑みを浮かべて二人に誘いをかけた。
「ねぇ…ボク、二人から特別な誕生日プレゼントが欲しいな」
この状況をどう説明すべきなのか。
混沌とした世界は誰にも理解できぬ場所である。
ここは不二の部屋だ。
二人とも今日まで足を踏み入れたことはない場所だ。
手塚と英二は不二に言われるがままに部屋に入る。
両者とも目隠しをされたまま。
不二は面白い玩具を見つめるようにまずは手塚の手首と足首を紐のようなもので縛り上げた。
身動きのできぬ手塚を見て不二は満足するように笑っていた。
そして手塚の持参していた鞄を勝手に開ければ中からシンプルな包装をされた小包を見つける。
水色の綺麗な小包を開ければ小さなサボテンがラッピングされていた。
「君はこれを僕にくれようとしていたの?嬉しいね」
「ちが…それは…!」
「どうしてさっきから手塚は否定しかしないのかな。僕に誕生日プレゼントをくれることってそんなにおかしいことなの?」
「不二!手塚はそれ選ぶのに2時間もかかったんだって!だから受け取ってやれよ!」
英二は二人の会話にもどかしい感情を覚え、手塚が言わないでくれと口止めした内容を不二にばらした。
手塚は顔だけ赤く染めてもじもじとしている。
今の手塚の状況では身動き一つできずさらには目隠しをされている状態なのでどうすることもできなかった。
あれだけ口止めをしていたはずなのに簡単に喋ってしまう英二に手塚は呆れた。
が、その英二でさえ今手塚と同じ状況になっている。
二人は思っていた。
今の不二が怖い、と。
何故か逆らうこともできない。
絶対的権力を握っているのは不二であり、自分たちは単なるしもべにすぎないのだと。
耳を澄ましているとベリベリと中を開封する音が聞こえてくる。
不二は綺麗にラッピングされたサボテンを取りだしていたのだった。
「可愛らしいサボテンだね…ねぇ、このサボテンありがたくいただくよ」
「ふ…じっ」
「手塚…僕はこんな素敵なプレゼントがもらえて嬉しい。でもさ、僕…昨年の君の誕生日には何もあげてないんだよね。これって不公平だと思うんだ。だから代わりと言っちゃあなんだけど…誕生日プレゼントをあげるね」
不二は突然手塚の上に圧し掛かると次々と制服を脱がしていった。
いくら視界が塞がれているとはいえ、手塚には自分の身に何が起きているのか容易に理解ができた。
その様子を音だけで英二は感じ取り、嫌な予感がし背筋を凍らせた。
「不二…!?」
「やだなぁ、安心して?アフターケアもちゃんとしてあげるから」
怯える手塚に構うことなくそう言えば、ボトムも剥ぎ取ってしまいさらに下着まで下ろしてしまった。
今の手塚を表すかのようにそれは下に萎えている状態であり、綺麗な腿はぷるぷると震えが止まらなくなっている。
不二はその様子を見てひどく安堵していた。
「よかった…手塚は童貞なんだね」
「なっ…!」
「…僕は刺激のないことには興味ない。だから…楽しいことしようね、手塚」
ちくりとする刺激に手塚は悲鳴をあげる。
英二はその声を聞き不二が手塚に何をしたのかすぐに判断できた。
恐ろしい。
指で触れても痛いあの棘を…相手の肌に触れさせるなど狂気に満ちていると英二は思った。
早くここから脱出したい。
不二のことは好きだしふられたとはいえ、まだ諦め切れていない部分もあったが今はそんなことを言っている状態ではない。
不二がここまでS気を晒しているのは初めてだ。
これが不二周助の本当の姿だったのだ。
そう思うと英二もがたがたと震え出してしまった。
最初はちょっといい感じになって、中学生にしては少し早いイケナイことを三人でするのだと思っていた。
だから目隠しをされようが身体を縛られようが言うなりになっていたのに。
そんな生ぬるい話ではない。
ついには手塚の暴れる音と耳障りな悲鳴が聞こえた。
おそらくとんでもない場所にサボテンを押しつけているのではないかと想像した。
英二は怖くなり恐怖が頂点に達したとき、なんとこの年齢にもなって失禁してしまっていた。
「英二…ぷっ。おねしょしちゃったの?あーあ、シーツ汚れちゃったじゃない…だらしのない子だね」
「ひっ…!やめて…不二ぃ…俺…おれ…!!」
「さぁて、英二の鞄の中には何が入っているんだろう?」
楽しそうな様子で不二はまたもや勝手に人の鞄の中身を開けてみた。
英二の鞄の中には可愛らしいピンクの包みがあった。
リボンまでついていてほどいてしまうのがもったいないようなラッピングになっている。
一度告白を断っているにもかかわらず、こうして自分のために誕生日プレゼントを用意してくれている友人に不二は心から感謝をしていた。
「包みの中身はなんだろな…と」
「…不二っ」
「へぇ…ぬいぐるみかぁ。これって鳥…あ、違う。ツバメだね?こんな変わったぬいぐるみよく見つけてきたよねぇ」
ありがとうと笑顔で言う不二。
しかし英二は呼吸ができないほどに落ち着きのない様子であった。
そのツバメのぬいぐるみも絶対に正常な使い方をされないにちがいないと英二は思っていた。
どこに突っ込まれるのか想像すると怖くなる。
でも不思議と自分の中心部が熱くなるのを感じる。
少なくとも手塚のように痛い思いはしなくて済むのではないかと英二は考えていたからだ。
サボテンなんかにしなくてよかったと安心したとき、英二は服を脱がされ始めた。
今度は自分の番なんだと知る。
でもきっとぬいぐるみなら痛くないだろうし、なんとか身体も耐えられる。
そう思いながらボトムを脱がされると英二の中に感じたものはぬいぐるみのような柔らかいものではなく、プラスチックのシリコンでできているようなものであった。
一瞬思考が停止して何が自分の中に入ってきたのか理解できずにいた。
「えっ…んんっ…あ、ふじ、これ…!」
「気持ちいいの?ボクさぁ…こういうのってホントに気持ちいいのかわかんないから…君たちに確かめてもらいたかったんだよねぇ」
英二は意外とイイみたいだねと不二が言えばカチッとスイッチを入れる音をさせたと同時に英二の中に入っていたモノがぐわんぐわんと音を立てて暴れだす。
「あんっ、や、ちょ、んんっ…ああっ…!!」
「うーん、やっぱ英二はそれらしい反応だね。やっぱ手塚が敏感すぎるんだなぁ。不思議」
あっけらかんと言いのけると不二はボタンで振動を強にしてしまえばあっという間に英二は達してしまった。
何を勘違いしていたのだろうと英二ははぁはぁと息を切らしながら不二を見上げる。
手塚の悲痛な叫びに思わず不二がとんでもないプレイに手を染めたのだと思ってしまったが、実はよくあるプレイだっただけなのだった。
いや、よくあるなどと簡単にまとめてしまっては困るのだが。
「気持ちよかったみたいだね、二人とも」
「………」
「不二の…ばか…」
二人の目隠しやら拘束具は取り去られ、今は二人とも自由の身だ。
不二は物惜しそうに今回使った道具を丁寧にしまいこめばベッドの下に隠した。
まさかこんなものが隠してあるなどと英二は想像すらできなかった。
「あー楽しかった。二人ともお疲れ様。二人のイくときの表情…忘れられないプレゼントになったよ」
「…いい加減にしろ」
「不二…もうやめてよね…遊びでこんなこと…しちゃだめなんだからさぁ」
「遊び?何言ってるの英二。それに手塚も…二人ともあんなに嬉しそうにしててさ。ボクまだ二人を家に返す気なんてさらさらないんだけど」
にんまりとした笑顔を作れば不二は怪しげな薬を持ち出して二人に提案をした。
「続きは…これからでしょ?」
