翌日。
なんだか気が重くて学校に行くのが辛く思えたけれどもう部活もないのだし、気にしても仕方ないので僕はさっさと家を出た。
突然の手塚の告白に未だ気持ちが落ち着かないけれど昨日はっきり伝えてしまったよかったのだと僕は思った。

教室に着くと今日も英二は早く学校に来ていた。
机にはラッピングされたお団子が詰まった袋がある。
英二は机にうつ伏せになっていたので僕に気付いていなかったようだ。
とりあえず僕は英二に声をかけた。
しかし返ってきた挨拶は酷く重苦しくて、いつもの英二ではないことは明らかだった。

話を聞けば大石に告白をしたのだという。
というよりは外部受験を自分もすると言ったらしい。
言葉は違えど意味合いは同じであると僕は確信していた。
しかし大石は医学部なんて英二にはきつい、それに俺が受けるからお前も受けようとしてるだけだろ、と言われたそうだ。
英二は何も言えなかったらしくて落ち込んでいるらしい。
大石がどんなつもりで英二を受け入れなかったのか。
本当にただ医学部を勧めなかっただけなのか、それとも英二の気持ちには応えられないという意味で断ったのか定かではないけれど。
英二も振られたということは間違いない。

「…それさ、団子」
「うん」
「ウチで作ったんだけど昨日タカさん家で食べたからどうしようかなって思って」
「うん。じゃあ僕もらっていい?」
「不二、無理しなくていいよ」
「英二が作ったものなら欲しい」

物好きなやつ、と言って英二は目を腫らしたその表情を隠しながら僕に団子をくれた。
本当は大石にあげるつもりだったんじゃないかと思ったけれどもらえるなら英二のものは皆欲しかった。
僕も思いを伝えるべきかなと思いつつ、やっぱり関係を終わらせたくなかったから僕は思いを伝えぬままでいた。