今ネットワークが普及している中で特に注目を浴びている…つぶやくサイトを強制的に利用することになった手塚。
勧めたのは不二。
手塚は面倒だからと拒否をしていた。
しかし不二が勝手にアカウントを取ってしまったのだ。

「覚えやすいでしょ?僕と君の名前を文字ってるからログインも簡単だし」
「人の携帯で遊ぶな」
「遊んでるんじゃなくて手塚と連絡取る手段を作ったんだよ?」
「連絡の手段?携帯の番号もアドレスも教えてあるじゃないか」
「そうだけど…気軽につぶやいたりできるし、それで会話とかできるんだよ?」
「それでお前は俺に何をつぶやきたいんだ?」

と聞けば不二はあんなことやこんなことと言っているが、手塚はよく理解していなかった。
すると今度は不二が冷めた目で手塚を見つめてくる。
付き合ってるのに用事がなきゃ話し掛けてもいけないのか、と不二からの抗議だった。
だからそれはメールでも電話でもいいじゃないか、と手塚は言うが不二はそれでは納得がいかないのだと言う。
二人の意見は噛み合うことなく、すっきりしないまま会話を終えた。

ため息をつきながら手塚は自分の家に帰った。
早速携帯から例のサイトにログインしてみる。
既に不二をフォローしており、彼のツイートが読めるようになっていた。
初めての利用だが手塚は新しいものを覚えるのに苦労はしないようだった。
単語の意味や使い方はなんとなくわかってはいるものの、やはり気が進まないのか自身からはつぶやかないままでいた。
時間が経過される度に不二のツイートがまた増えていく。

『手塚と一緒に呟きたい』
『せっかくだからテニス部にも普及させようよ、部長さん』
『検索したら意外にやってる人いるかもしんないね、探してみる?』
『ねぇ、僕ばかりつぶやいても仕方ないから手塚も何かしゃべってよ』

ほぼ一分間隔でつぶやかれる不二のツイート。
さすがに一人で会話している不二を不憫に思ったのか、手塚もつぶやいてみた。

『@tezukalove今お前のツイートを読んでいた』
『@tezukaloveなかなか面白いかもしれない』
『@tezukaloveしかしお前のアカウント名は恥ずかしい。変えてくれ』

まるで自分のことが好きな奴だと思われそうだ。
そんなナルシストと勘違いされたくない。
すると一分もしないうちに不二から返信が来た。

『@fujizukaいいじゃない。手塚愛溢れる名前だし!うわ〜手塚とこうして会話できるのすごい嬉しい』

しかしなんだかんだ言って、実は手塚が一番喜んでいたりする。
こうして不二が喜んでいるのを見ると、手塚は幸せな気持ちになれた。
あいつが嬉しいなら俺も嬉しい。
手塚の胸に秘めた想いはツイートには載せず、ただ一言『@tezukalove良かったな』と返した。