僕達は付き合って三ヶ月になる。
そう、ついに三ヶ月も経った。
英二は僕にスキンシップを求めてくるし、きっと…英二は───
「あっれぇ?不二?いない〜まだ来てないんだ?」
浮かれていたら遅刻をしてしまった…。
夏休み中の部活だというのに。
これじゃまた手塚に怒られそう。
『大会があるのに…お前はたるんどる!』
とか。
あ、これは真田のセリフだった。
「あれ?不二じゃないか。青学は部活ないんだ」
「え?!幸村…なんでこんなとこに…あ、噂をすれば真田まで」
腕組みして威圧感漂わせた真田は幸村の側にいた。
いや、いきなりだったから視界に入らなかったけど立海のメンバーも皆いたんだ
。
でも神奈川の学校がここにいるなんて…
「我々は今から氷帝と練習試合だ」
「えっそうなの?幸村も試合するんだ?」
「今回はまだ試合をするつもりはないんだ。様子見て大丈夫そうなら少し打つけ
ど」
もう退院していたんだ…いや、していて当然だよ。
もう全国大会は始まっているし。
「じゃあ、また」
「うん」
幸村の実力が気になる…。
でも!
テニスは置いといて!
今は英二のことで頭いっぱいなんだ!
三ヶ月経ったことを伝えて、それで英二の初めてを今日僕がいただき…
ニヤニヤしながら学校へ向かった。
妄想が膨らんでたまらない!
校門を抜けてテニスコートへ向かう。
手塚にバレないようにそっと入ろう。
いつ来たんだって言われたら「最初からいたよ」って怖い顔して言えば大丈夫。
僕に逆らう者なんていないし…フフッ。
「不二、今頃来たのか」
「(な?!もうバレた!?)え、何言ってるのさ。僕はさっきからいた…」
「いつからそんな嘘つきになったんだ?グラウンド20周だ!」
そ、そんな…僕が怖い顔すれば引き下がると思ったのに…。
「にやけた顔で何考えていたのか知らないが菊丸は心配していたぞ」
「え!英二が?!」
「うわぁぁん!遅刻なんてしんじらんなーい!不二が来ないなんて珍しいから何
かあったのかと思って心配したんだよ?」
「英二…ごめんね!!」
力いっぱい抱き締めた。
英二を心配させるなんて…恋人失格だ。
「俺なら菊丸を不安がらせるようなことはしない」
「うっ…。うるさいな、君には関係ないよ」
「菊丸に“どうしよう”と、抱きつかれた。柔らかくて猫みたいだな。あ
いつは」
くっ…なんだよ、手塚ってば。
勝ち誇ったような顔して。
優越感に浸ってるつもり?!
僕が英二の彼氏なんだから…勝ってるのは僕だ!
でも…何故か負けたような気がする。
違う!違う!
僕は負けてなんかいない!
だって僕は英二の…
ヒーローなんだから!!
