大量の玉子焼きにあっけにとられていると不二は調理をやめて俺の所へ来た。
不二がしていたエプロンに卵がべちゃりとくっついている。

ドロドロしていてグロデスク。








「…こ、こんなに食べれるわけないじゃん!なんで…」

「食べてよ英二」

「だ、だから作りすぎ…」

「食べてよ英二」







壁まで追い詰められた。
不二の右手には作りたての玉子焼きが盛られた皿があった。
その玉子焼きを素手で掴んだ不二は俺の口へと無理矢理突っ込んだ。

熱すぎて火傷しそうだったので入れられた瞬間、玉子焼きを吐き出した。
冷たい床に落ちた黄色の物体は今も湯気を出している。







「食べてくれないんだ…僕の玉子焼き…食べて欲しかったのに…どうして食べて くれないの?」









不二が怖かった。
顔の表情は前髪で隠れてしまっていてよく見えない。







「僕の作ったものが食べられないのか…わかった…」







そのまま不二は俺に覆い被さってきた。
強い力で手首を握ってくる。
抵抗しても力が敵わなくて…









「(う…そ…!)」







唇を奪われただけじゃなくて…舌も挿れられた…
された瞬間に嫌悪感が芽生えるはずなのに…なんだか知らないけど…嫌悪感がな い…

違う…俺は…不二をそういう対象で見ていたわけじゃない…
そう…違うはずなのに…嫌な気持ちがしなかった。
その舌が俺の奥に行きたがっているような感じで…なんだかゾクゾクする。
気持ちいい…







「…抵抗する力が弱くなったね…このまま僕に犯されたいのかな」

「ち…ちが…」

「違う?いや…僕としてもまんざら悪い気しないんだろ」







そんなことない…!
でも問いつめられて…なんだか言い返せない…自信がない…俺は…不二のことが 好きなわけ…







触られる所が熱くなる。
彼女と接したときはこんなだった?
ううん…彼女とは違う…不二の指先は冷たいのに撫でる所は熱くて…すごく気持 ちよくて…








「あ…ぁ…っ…!(なんでこんな声…!)」

「英二…僕は君が好き。ずっと一緒になりたかった。だから離れたくなくて君を ずっと追いかけてた…一つになりたい」

「はぁ…っ…ぅ…んッ…!」

「だから僕は君の側にいる」







俺は不二のことしか考えられなくなった。
膨れた不二自身が俺を何度も突く。
激しくて俺の身体が壊れちゃうんじゃないかと思うほど突かれて…でも誰にも触 れられてないところだから痛くて…







「あんっ…あ…ッ…んんっ…ぅ…やっ…あ…ぁぁ…!!」

「…いっぱい出たね、英二の。フフッ…」







不二は俺の精液を指で掬うとペロリと舐めた。
銀糸が指と舌を繋いでいてヤらしかった…。


どうして…なんで不二に抱かれてこんなに気持ちがよかったの…?


俺のゴミ持ち帰って、後をつけて…不二がしてたことはストーカーまがいなのに …。


まだ身体は熱くて…痛かったけど気持ちよくて…







「君は僕をどう思ってる?嫌いになったよね」

「き、嫌いなんかじゃ」

「じゃあ…僕と付き合える?…僕だけを見て欲しいんだ、彼女なんか僕が忘れさ せてあげるから」







俺が口を開こうとすると不二はキスをして塞いだ。

不二のされるがままに俺は自分の身体を託した。























こんな関係を不二と結ぶなんて思わなかった。
今まではただの同僚だったのに…肉体関係を持って改めて不二のことを意識する ようになって…。
天国にいる彼女が見たら激怒したっておかしくないんだ。

だって俺…気持ちの切り替えが早すぎるもん…。
でも俺のカラダは不二を受け入れたんだ。
男だからって気にしないでいたけど…不二が好きだったんだ…。







「おはよう!英二、美味しい味噌汁ができたんだ。食べて」
「新聞持ってきたけど英二は読むかい?」
「新茶が出たから急須で入れたよ…香りがいいや」







不二は俺と関係を結んでから今まで以上に笑顔になっていた。
まるで新婚生活みたいな朝だった。


この後は会社へ出勤。
手を繋ぎたいと不二が言ってきた。







「さすがに外ではやめようよ、不二。恥ずかしいじゃんか」

「僕は恥ずかしくないけどな…英二、繋いでよ」

「だって…」

「繋いでよ」







俺は思った。
不二はいい奴だし、好きだけど…







欲を満たさないと怖くなる。

声だって低いし、表情も笑顔じゃなくてなんだか開眼しちゃってるし…。
なんだか…束縛感を感じた。
怖い。







「英二の手ってあったかくて柔らかい!可愛いね」







不二の機嫌が悪くならないように俺は手を繋いだままでいた。